ループ5回目。今度こそ死にたくないので婚約破棄を持ちかけたはずが、前世で私を殺した陛下が溺愛してくるのですが
「アーモンドの花びらだな。この辺には生えていないと思うのだが、どこで付けてきたんだ?」
「アーモンド?」

 シャルロットは聞き返す。

 アーモンドはダナース国でたくさん作られている農産物のひとつだ。この季節になるとたくさんのピンク色の花を咲かせることは知識として知っているが、一度も見たことはない。

「だいぶ暖かくなってきたから、ちょうどアーモンドの花が見頃だな」

 エディロンはふと何かを思いついたように、シャルロットを見つめた。

「今度、一緒に見に行こうか」
「え?」
「以前、見たことがないから見てみたいと言っていただろう?」

 シャルロットはびっくりしてエディロンを見返す。
 毎日の何気ない会話で、そんなことをエディロンに話した記憶はある。
 けれど、覚えているなんて思っていなかったから。

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