ループ5回目。今度こそ死にたくないので婚約破棄を持ちかけたはずが、前世で私を殺した陛下が溺愛してくるのですが

 エディロンは農家の主の回答に、満足げに頷く。エディロンはその他の作物につ
いても話を聞いていたが、軒並み豊作のようだ。

「せっかくなので少し歩いてもいいか?」

 エディロンが農園の主に尋ねる。

「もちろんです」

 農園の主はにこにこしながら頷いた。

「シャルロット」

 エディロンはくるりと振り返り、シャルロットに手を差し出す。シャルロットはきょとんと小首を傾げた。

「手を」

 苦笑したエディロンにそう言われ、エスコートのために手を出せと言っているのだとようやく気付く。

「あ、ごめんなさい」
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