ループ5回目。今度こそ死にたくないので婚約破棄を持ちかけたはずが、前世で私を殺した陛下が溺愛してくるのですが

 エディロンの言葉を聞き、気持ちが重くなる。

 妹のリゼットはダナース国からの求婚が来た際に泣き叫んで無理矢理嫌がるシャルロットに婚約者の役目を押しつけたほどだ。確かにそういう失礼な態度を取ったとしても不思議ではない。

「それは……申し訳ございません」

 今世ではほとんど関わっていない義理の妹とはいえ、身内がそのような態度を隣国の国王に取ったことをとても恥ずかしく思った。

「いや、彼女はあなたとは別人だし、そういう態度をとる他国の王族は他にもいる。だから、それは気にしなくて言い。ただ、俺はそのときにあった王女がダナース国に来るものだとばかり思っていたから、王宮の奥深くにでも置いてできるだけ関わらないようにしようと思っていた。お互いにそのほうが幸福だと思ったからだ」

 エディロンはアーモンドの花に向けていた視線をシャルロットに移す。

「だが、蓋を開けたら全く別の王女が来た。更に、その王女は『この婚約をなかったことにしてほしい』などととんでもないことを言い始めた」
「…………」
< 213 / 325 >

この作品をシェア

pagetop