ループ5回目。今度こそ死にたくないので婚約破棄を持ちかけたはずが、前世で私を殺した陛下が溺愛してくるのですが

「違うのか……。俺はてっきり、あなたがそれで悩んでいるのだと」

 一方のエディロンは自分の予想が外れたのがよっぽどばつが悪かったのか、口元に手を当てて居心地が悪そうだ。

「…………。ちなみに陛下は、なぜそう思われたのですか?」
「あなたがあまりにも博識すぎるからだ。諸外国のことに詳しすぎるし、剣を扱えるもの違和感がある。専門機関で幼少期から養成された人間だろうと思った。それに、刺繍も──」
「刺繍?」

 シャルロットは確かに刺繍が得意だ。けれど、それをエディロンに話したことがあっただろうか?

「実は、今日これを──」

 エディロンがポケットから取り出したのは、見覚えのあるハンカチだった。白い生地にピンク色の小さな花がいくつも刺繍されている、可愛らしいデザインだった。

「え? どうしてこれを陛下が!?」

 シャルロットは驚いて声を上げる。

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