ループ5回目。今度こそ死にたくないので婚約破棄を持ちかけたはずが、前世で私を殺した陛下が溺愛してくるのですが

「ガルは羽根つきトカゲではないの?」
「違う。神竜だ」
「神竜!?」

 シャルロットは驚いて素っ頓狂な声を上げ、慌てて自分の口を両手で押さえる。

「ガルが神竜ってどういうこと? もしかして、リロも?」
「どういうことも何も、言った通りだ。もちろん、あいつもだ」

 あいつとはリロのことだろう。
 シャルロットは呆然としてガルを見つめる。

 エリス国には古くから伝わる神話がある。
 エリス国の初代国王は神に愛され、故に魔法の力を授かった。神は特に寵愛する王族に神使を遣わせ、特別な祝福を授けると。
 そして、神使は多くの場合竜の姿をしているという。

「どうして羽根つきトカゲの格好なんてしていたの!?」
「だからそれは、お前の神力が魔法で制限されていたからだと言っているだろうが!」

 ガルが苛立ったようにシャルロットに言う。
 話して初めて知ったが、ガルは意外と怒りん坊のようだ。
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