天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!2
 それは、ライナスが生まれてから顕著になった。ディートハルトが聞いていないと思って、ひそひそとかわされる会話。

 いい子にして、早く大人になって、周囲の人たちを困らせない様にしなくてはならない。

 ディートハルトがマナを持っていないと判明した時、空気はさらに悪化した。マナを持たない者が王でいいのか。ライナスに跡を継がせた方がいいのではないかと、ここぞとばかりにライナスを持ち上げる王妃の縁者達。

 ディートハルトには礼儀正しく振る舞ってくれた王妃自身さえも、自分の産んだ息子を王にしたいという野望を隠せなかった。

 彼女が、ディートハルトを暗殺してでもライナスに王位を継がせようというほどの悪人でなかったことだけが救い。

(ライナスには、難しいかな、難しいよな……)

 このあたりの複雑な事情は、絶対にライナスには理解できない。彼より年上であるカークでもたぶん無理だろう。

 ──ミリエラなら。彼女ならきっとわかってくれる。でも、それは彼女が『特別』な存在だから。

「あのね、ライナス。錬金術はすごく楽しいんだ。たとえば、この腕輪」
「兄上と、お揃い!」
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