天才幼女錬金術師に転生したら、冷酷侯爵様が溺愛パパにチェンジしました!2
 カークが見ていないとわかっている時は、申し訳なさそうに眉を下げてうつむいて。

『ねえ、ニコラ。ミリィ、男の子でも女の子でもどっちでもいいんだよ? だから──だから、諦めないで』

 子供らしからぬ真面目な顔をして、そう言われたこともあった。

 ミリエラが反対しないのはわかっているからこそ、もうひとり子供をもうけるのは怖かった。大切な親友であり、主であるアウレリアから託されたミリエラが、自分をいらない存在だと思ってしまうのではないかという不安がぬぐえなくて。

 いや、ニコラの目には、ミリエラはいつもどこか遠くにいるように感じられていた。無邪気な笑い声をあげ、甘え、時には涙を見せることはあっても。

(侯爵様が、ミリエラ様を受け入れてくれてよかった──)

「ニコラ、失敗しちゃった。直して」
「はい、かしこまりました」

 絡まってしまった編み針とレース糸を、ミリエラはニコラの方に差し出す。それを丁寧に解き、同じところまで編み直してからミリエラに戻す。

「ありがと!」

 にっこりと笑った姿も愛らしい。

(……近頃、お嬢様もよくお笑いになるから)

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