カモフラ婚~CEOは溺愛したくてたまらない~
確かに結婚という選択が必ずしも幸せであるとは限らない。
結婚に夢や憧れを思い描くだけの子供とは違うのだ。
そんなことは痛いくらいによくわかってる。
それでも縁あって再会した蒼空には、幸せな結婚を選んでほしかった。
きっとそれが私の本心なのだろう。
「結婚する二人が、誰しも愛し愛され望んで結婚するわけじゃないってことだよ」
「そうだね……」
杏の深すぎるカッコいい言葉に私は何も返答できず、ただただ納得するしかなかった。
「そろそろ採寸終わってるんじゃない?私達も向かわないと」
私は気持ちを切り替えるためにコーヒーを一気に流し込むと、紙コップをゴミ箱に投げ入れて杏を急かした。
フィッティングルームに戻ると、ちょうど蒼空がタキシード姿でくるりと一周し、縫製係に見せているところだった。
真っ白なダブルのタキシードに身を包んだ無表情の蒼空は、まるで漫画から抜け出たクールな王子様のように輝いて見える。
おいおい、うそでしょ……。
日本人だっていうのに、こんなにタキシードをバッチリ着こなせる人なんて初めて見た。
思わずあんぐりと口を開けてみていると、ふと蒼空と視線が交わった。
「由華ちゃん!見て。どうかな?」
まるで主を待っていた子犬のように満面の笑顔を見せ、蒼空は私の目の前までやってきた。
結婚に夢や憧れを思い描くだけの子供とは違うのだ。
そんなことは痛いくらいによくわかってる。
それでも縁あって再会した蒼空には、幸せな結婚を選んでほしかった。
きっとそれが私の本心なのだろう。
「結婚する二人が、誰しも愛し愛され望んで結婚するわけじゃないってことだよ」
「そうだね……」
杏の深すぎるカッコいい言葉に私は何も返答できず、ただただ納得するしかなかった。
「そろそろ採寸終わってるんじゃない?私達も向かわないと」
私は気持ちを切り替えるためにコーヒーを一気に流し込むと、紙コップをゴミ箱に投げ入れて杏を急かした。
フィッティングルームに戻ると、ちょうど蒼空がタキシード姿でくるりと一周し、縫製係に見せているところだった。
真っ白なダブルのタキシードに身を包んだ無表情の蒼空は、まるで漫画から抜け出たクールな王子様のように輝いて見える。
おいおい、うそでしょ……。
日本人だっていうのに、こんなにタキシードをバッチリ着こなせる人なんて初めて見た。
思わずあんぐりと口を開けてみていると、ふと蒼空と視線が交わった。
「由華ちゃん!見て。どうかな?」
まるで主を待っていた子犬のように満面の笑顔を見せ、蒼空は私の目の前までやってきた。