鳳条先輩は私への溺愛が止まらないらしい。
「分かった。」


桜妃の言葉に甘えて、俺は1人、リビングに戻った。


それから、桜妃がさっきまで見ていたアルバムをめくる。


なんか、……俺小さい時から何もかもあんまり楽しくないって顔してるな。


よく言われていた、子供らしくない子だと。


父親の会社の関係で、いろんなパーティーによばれても、はしゃぐ周りの子供を見て、ため息をついていたくらいの子供だった。


写真にうつる自分を見て思う。俺に、本気で楽しかったと思える日はあったんだろうか。


このアルバムに載っている写真の年齢の時は……幼いながらに、いろんな大人たちからのプレッシャーを感じて、真っ直ぐな子供ではいられなかったな。


だから、俺が本気で楽しかったのは、桜妃と出会ってからだ。
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