鳳条先輩は私への溺愛が止まらないらしい。
「っっ、、」


その温もりに包まれた瞬間、溜まっていた涙が溢れてくる。


だけど、それだけでは安全なはずがなかった……。


「くそっ、」


舌打ちをした男の人が血眼になってナイフを前に向けながらこちらへ走ってくる。


「っ!お兄さん!桜妃をお願いします!」


危険を察知した鳳条先輩は、咄嗟に私をお兄ちゃんに預けて……


「鳳条先輩っ!!危ない!!」


相手はナイフを持ってるのに……


嫌なのに、鳳条先輩が傷つくのは絶対……


「狼!!」


後ろから、天川先輩も叫ぶ。



『キンッッ!!』



ナイフが……床に落ち、地面と擦れたような音は、私の鼓膜を揺らした。


「ぐっ、、」


苦しそうなその声は、鳳条先輩のものでは無い。
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