鳳条先輩は私への溺愛が止まらないらしい。
「………っ、あ、」


声が出ない代わりに、伝わるか分からないほどだったけど、小さく首を振った。


「え、?でも、…」


先生の戸惑いの声が聞こえる…。そ、うだよね、ごめんなさい……。


人に迷惑をかけてばっかりの自分に嫌気がさして、涙が頬を伝った時だった。


「桜妃…??」


鳳条先輩、…??背後から声がしたけど、お腹の痛みに加えて、こんな恥ずかしい姿を見られたくないという気持ちから振り向けない。


「ほ、うじょ、さん…」


少し動揺する琴莉ちゃんの声が聞こえる。


「ほ、うじょう様、桜妃を、保健室まで運んで頂けませんか。」


え、……今まで琴莉ちゃんは、鳳条先輩の権利とか存在が偉大すぎて、話しかけるなんて怖いって言ってたのに……私のために……??
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