孤高の脳外科医は初恋妻をこの手に堕とす~契約離婚するはずが、容赦なく愛されました~
「もしかしたら、この間よりも無様かもしれないけど……霞も、全部見てて」


滾るような情欲で目元をけぶらせて――。


「っ、あ、ああっ……!!」


ドクドクと脈打つ熱いものが、ゆっくりゆっくり私をこじ開け、侵入してきた。


「くっ……う」


トン、と私の最奥を突いて、霧生君が顔を歪ませる。


「は、はっ……」


脱力して私に全体重を預け、私の耳元で掠れた声を漏らす。


「愛おしい。君が堪らなく愛おしいよ、霞……」


振り絞るように言って、私をぎゅうっと抱きしめた。
霧生君が言ってくれたのと同じ……それを上回るくらいの愛おしさで胸がいっぱいで――。
私は乱れる呼吸で胸を弾ませながら、彼の背中に両腕を回した。


「大好き。大好き……颯汰」


彼の耳朶を囁きでくすぐると、小さく息をのむ気配がする。


「っ、く……」


霧生君が苦し気に呻き、ブルッと身体を震わせた。


「今呼ぶか、普通……」


がっくりとこうべを垂れ、声をくぐもらせる。


「こっちは初心者だって言うのに……反則だろ……」

「え……?」


私は、身体を起こして離れていく彼を、戸惑って目で追った。
霧生君は私を上から見下ろして、


「こうなったら、今夜はとことん付き合ってもらう」


ちょっと悔しそうに、とんでもなく不敵に宣言した。
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