婚約破棄を希望していたのに、彼を愛してしまいました。
「明将はうどんにしよっか」

「ちゅるちゅる〜?」

「そ、熱いからふざけないで食べようね」

「あい!」

「じゃあ、私もおうどん頂こうかしら。自分で作るおうどんと、お店で食べるおうどんはひと味違うのよねぇ」

「分かりますわ。お店のは特別美味しく感じますよね〜」

「じゃあ、きつねうどん3つの月見うどんが1つでいいですか?」

「あら、明将の分は?」

「明将は私と半分こで大丈夫。最近偏食気味で、あんまり食べないし」

「蛍もかなりの偏食家だったのよ。私が作ったご飯、どれだけ床に投げられたことか」

「智明もよ。あれも嫌これも嫌って、丸っと1日ご飯食べない日もあったんだから」

人生の先輩2人の話を聞きながら、いつの時代でも子供の好き嫌いはお母さんたちが頭を悩ませる問題だよなぁとしみじみ思う。

私なんてまだまだ新人ママだし、2人を見習ってもっと頑張らなきゃ。

「とりあえず警察まで全部終わった。明将、怖い思いさせてごめんな」

「ぱぱぁ!だっこ!」

「中村さんはなんて?」

「光明と付き合ってれば、いつか俺と結婚できると思っていたらしい。その見込みがなくて、でと俺との子供が欲しくて明将を誘拐したんだと」

「何それ…言ってることもやってることもめちゃくちゃじゃない」

「えぇ…ほんとに…」

明将に怖いトラウマを植え付け、私の大切な家族を傷つけようとした理由がそれか。

頭狂ってるとしか思えないよね。
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