婚約破棄を希望していたのに、彼を愛してしまいました。
今日初対面だと思っていた彼と会うのは実は2回目で、ワンナイトしてしまった時に私からプロポーズして。

いや、うん、プロポーズはマジで記憶にないけど。

それで今に至って、あろうことかベッドの上にいて。

展開が早すぎて、ついていけないとはこのことだ。

「蛍、力抜いて。大丈夫、ふーって息吐いてごらん」

「んぅっ⋯、怖いッ⋯」

「大丈夫、目開けてごらん。ちゃんと俺だから」

お互いのことを理解しているかすら危うい相手の声に安心して、身体を預けてしまう。

私って実は単純というか、ビッチの才能(?)あるのかな。

それから、私たちは夢中でお互いを求め合った。

最初こそ抵抗していたものの、だんだん抵抗する気力もなくなってされるがままだった。

「蛍、好き、愛してる」

「んっ、私も好き、ですッ⋯」

もしかしたら私は、初めて会った時から智明くんのことが好きだったのかもしれない。

運命とかそういうんじゃないけど、好きだって気持ちが、自然と出てきて。

一度その言葉を口にしたら、想いが溢れて止まらなくなった。

「智明くん、愛してるッ⋯」

「俺も、愛してるよ、蛍」

お父さん、お母さん。

私は自分の気持ちに正直になります。
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