婚約破棄を希望していたのに、彼を愛してしまいました。
「蛍、身体辛くない?」

「はい、大丈夫です」

「俺のこと、愛してるって言ってくれたね?」

「あれは、違います。空耳じゃないですか」

「空耳じゃないよ。この可愛い口が"愛してる"ってはっきり言ったのを聞いたからね」

「智明くんは、意地悪でした」

「そう? あれが僕の本性なんだけど」

「やっぱりそうですよね? この家に入ってから、雰囲気変わりましたもん」

私がそう言うと、智明くんはケラケラと楽しそうに笑った。

さっきまですごいドSで、意地悪なことをばかりをしてきた彼と同一人物だとは思えないほどの可愛い笑顔で。

「蛍は、ツンデレなの?」

「何言ってるんですか、急に」

「だって、シてる時はすごい甘えてくるのに、終わったらすぐツンツンしちゃうし」

「ツンデレじゃ、ありませんから」

「えー、ほんとかな?」

この人、私が愛してるって口走ったから調子に乗ってるな。

たしかに愛してるけど、からかわれてばっかりは面白くない。

「あの、智明さん」

「何? もう一回戦したい?」

「なんでもないです」

「ごめんごめん、何?」

「とりあえず1週間、よろしくお願いします」

「何言ってんの、一生俺といてもらうから。覚悟しといてよ」

私が智明さんへの愛を認め、1週間のお試し同棲が一生傍にいる方向に変わったらしいです。
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