婚約破棄を希望していたのに、彼を愛してしまいました。
「そういえば、母さんが明日か明後日うちに来たいって言うんだけどいい?」

「もちろんいいよ。あの事件以来、親戚もみんなピリピリしちゃってるし、気分転換にみんなでどこか行きたいなぁとか思っちゃう」

「それだ!!」

「え、何?」

「今度の週末ってたしか、連休だよな?」

「うん、3日か4日連休だったと思うけど」

「世間は普通に平日だからそんなに混まないだろうし、旅行に行こう。うちの会社はほぼ全員連休だから全員揃うとして、蛍のところはどうだろう?」

「多分声掛けたら、お父さんもお母さんも喜んでいくって言うと思うよ。仕事放り出して…」

「そうと決まれば、お互い家族に連絡しなきゃだな。場所と宿は俺がやるからって伝えてくれ」

「分かった、伝えておくね」

私が勝手に思っていた気分転換がまさかの実現することになり、急に慌ただしくなる。

高峰製薬は驚くほどのホワイト企業でこうしてまとまった休みも多いし、旅行はしやすい。

実家の会社もまとまった休みが多いから、2人とも絶対行くって言うだろうし、なんなら私たちより張り切って準備しそう。

「さて明将、帰って旅行の準備だよ」

「りょこー?」

「そ、みんなでお出かけするの。楽しみだね」

私は家族みんな揃って旅行に行けることに、とてもわくわくしていた。
< 141 / 146 >

この作品をシェア

pagetop