婚約破棄を希望していたのに、彼を愛してしまいました。
智明 side

「父さん、母さん。蛍の実家に行ってくるから、何かあったらすぐ連絡して」

「こっちのことは心配しなくていいから、蛍さんと仲直りすることだけを考えなさい」

「蛍と離婚するってなっても俺が控えてるから安心してね、兄さん」

「まったく、何を言ってるの光明は」

「どんな理由であれ、蛍を泣かせた兄さんが悪い。だから、万が一の時は覚悟しといてね、兄さん」

「言われなくてもきちんとケジメはつける。父さん、母さん、光明も色々よろしくな」

俺の言葉に3人は深く頷いた。

3人は昨日の夜、俺が伝えたとおりに動いてくれるだろう。

そして、それをきちんと遂行してくれるはずだ。

「お義父さん、お義母さん。昨日に続き押しかけてしまい申し訳ございません」

「いいのよ、気にしないで。智明くんにとっても、ここは実家なんだから」

「ありがとうございます。それで、蛍は···」

「それが···今日も朝から部屋にこもりっぱなしで、朝ご飯にも顔を出していないのよ」

「そうですか···ドア越しでも構いません、少しお話させて頂いてもよろしいでしょうか?」

「もちろん構わないよ。蛍とゆっくり話しておいで」

「お義父さん、お義母さん。お心遣い感謝します」

俺はそう言って、蛍の部屋の前に向かった。
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