婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
レイ様を目にした途端、私は一歩下がりました。ここにいてはいけない。いる資格もない。
帰らなくては、私の役目はここまで、そう思ってリッキー様に従ったのですから。
「お待ちしておりました。さあ、フローラ様。中へどうぞ」
部屋に促したのは相好を崩したセバス。
「いえ、私はここで。リッキー様をお連れしただけですから」
中に入ることを固辞していると部屋の奥で、エルザ達がエプロンで目頭を押さえて涙ぐんでいる姿が目に入りました。護衛騎士達は拳を握って小さくガッツポーズを繰り返していて、侍従達は喜悦の表情で微笑んでいます。
理解しがたい奇妙な光景に気を取られている隙に、ササッと歩み寄ってきたケイトとルーシーに腕を組まれました。離さないとばかりにガッツリと。