婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています

「楽しみにしていてくださいね。分相応。そう、おっしゃっていましたものね。一つ、正しておきますわ。フローラは高嶺の花ですの。道端に咲いている誰でも摘めるような野花とは違いますからね。高嶺の花のフローラには高貴な方が似合う。そう思いませんこと?」

 あんなに従順だったディアナがわたくしに牙をむく。好戦的な色を湛えた瞳の奥には青い炎が見えたような気がした。
 ゾクッとした寒気が背中を伝う。

「そんなことは、な……」

 ぎょっとしたフローラが口を挟もうとしたけれど、ディアナがそれを制した。

「自分の価値を見誤ったらいけないわ。フローラ、あなたは高嶺の花なのよ。だから、自信を持っていいのよ」

 言い含めるようにフローラに言った後、ディアナは涼し気に扇子で顔を扇いでいる。

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