婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
「なぜ、わたくしが惨めな思いをしないといけないのよ。フローラがレイニー殿下でわたくしが三男って、どんな冗談なのかしら。もしかしてわたくしは夢を見ているのかしら」
ビリビリ、ビリビリ。引き裂く指に力が入る。立派に装丁された教科書を破るために渾身の力を込める。
「フローラのどこが高嶺の花なのよ。あんたは雑草よって言ってやればよかったわ。身の程知らずな。地味令嬢のくせに」
細かくなった紙片が机に溜まっていく。紙片をかき集め上へ放り投げる。宙を舞った紙片は床に散らばった。
「はあ、はあ」
息つく間もなく激情に身を委ねた力任せの行為に呼吸が乱れて肩で息をする。
紙を破いたくらいでは怒りは収まらない。なんとも言えない気持ちはどこに持っていきようもない。
呼吸が正常に戻った頃、扉を叩く音と共に扉が開いた。