婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
「お嬢様、入りますよ。お召替えのお手伝いを……」
部屋に入ってきたメイドの足が止まって、声も止んだ。視線はわたくしではなく先の方に注がれている。
「あの、お嬢様。どうなさったのですか?」
滅多なことでは驚かないメイドのエマ。
紺色のメイド服に後ろに纏めた茶色の髪。そして、茶色の瞳が大きく見開かれて、わたくしの背後の惨状に困惑している。
机の上では教科書類が鞄から飛び出ているし、破いた紙があちらこちらに散らばってゴミが散乱しているかのようだった。
いつもキッチリと整理整頓されて埃一つないわたくしの部屋。
メイド達が毎日磨き上げてくれる清潔な部屋の机の周りは、見る影もないほど散らかってひどい有様。目を覆いたくなるほど。
「お嬢様」
その悲惨な状況を目の当たりにして、何があったのかと、気まずくも気の毒そうにわたくしを見つめるエマ。