婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
「い、いえ。これは……」
冷静になってみると常軌を逸している行為。バカげたことをしてしまったわ。
あたふたするも、わたくしがやりましたなどとは口が裂けても言えない。
「わたくしでは、ないのよ……」
そうよ。わたくしではない。いつもの自分だったら絶対にこんなことはしないわ。あれはわたくしではなかったのよ。わたくしに乗り移った誰かだったのよ。たぶん。
そうでも思わないと惨めすぎる。
「それでは、誰が……」
「それは……」
往生際が悪いとわかっていても、犯人は自分だとは言えない。わたくしだって信じられないのだもの。負け犬のごとく逃げ出すしかなかった末の結果がこれって、あまりにも恥ずかしすぎる。
「もしや、他の誰かの仕業とか? いやがらせをされているとかではありませんか?」
白状しないわたくしに何かを感じ取ったのか、エマがあらぬことを聞いてきた。