婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
接点も何もない。
まともに話したこともないのに、わたくしが作り上げる物語の中では、わたくしたちは恋人同士だった。
嘘は嘘を呼び、雪だるま式に大きくなっていく。あの日の愚行をごまかすために始めた嘘の物語は、ずっと続いている。今流行の小説になぞらえて話をすれば、エマは食いついてくれた。
「そして、今日はね、庭園でお茶をして、この指輪をプレゼントしてくださったのよ。わたくしへの愛情の証ですって」
恥じらうように顔を隠して頬を染めるわたくしをニコニコとした笑顔で見ているエマ。
「お嬢様はお幸せですね」
着替えをすませて髪を梳いてくれるエマが鏡越しに温かい眼差しを向ける。
「そうね、でも……この恋は実らないかもしれないわ。だから……」
悲し気に顔を伏せるわたくしに状況を慮ったエマはそれ以上は何も言わなかった。
「大丈夫よ。いつまで続くかわからないけれど、今の幸せを大事にするわ。何があってもわたくしはレイ様を愛し続けるの」