婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
身に覚えがあるどころではない。鮮明に思い出してしまったもの。恥ずかしい。
「あの時、ここで言った言葉。寝ている俺に何を言ったのか、覚えているよね? もう一度聞きたいな」
ルンと弾んだようなレイ様の声音に心臓の鼓動がMaxに。
聞かれていたの? まさか、寝たふり?
ドキドキどころの話ではありません。思わず首に回した腕に力が入ってしまいました。
落ち着いてねと宥めるかのように私の背中をさするレイ様。
「そんなに渋られるとちょっと落ち込むな。そんなに言いたくない?」
「え、いえ、そういうわけでは……」
面と向かって言われると恥ずかしすぎて、とてもじゃないけれど勇気が持てないわ。あれは聞こえないことが前提だったから。