婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
「王太子妃殿下、ありがとうございます。その通りでございます」
鉄格子から手を離したビビアン様は礼をとる。
「わたくしも色々と話を聞かせてもらったのよ。フローラ嬢はわたくしの友人でもあるし、リチャードの語学教師でもあるわ。それに彼女はブルーバーグ侯爵令嬢よ」
ビビアン様の頬が引きつったことを見逃さなかった。何か心当たりがあったのよね。
「ビビアン嬢はそれより高位の公爵令嬢よね。親しくはなくても小さい頃からの顔見知り。シュミット公爵家だって近しい存在だわ。どちらにしても両家とも大事であることに変わりはないのよ」
「ありがたき幸せにございます」
最上級のカーテシーをして敬意を表す様子が哀れに思えてしまうのはわたしだけかしらね。
所々、毒を含ませて語るアンジェラ。
両家とも大事なんて言いながら、ビビアン様を見据える瞳の奥は湖に張った氷のように寒々としている。
さて、この先が喜劇になるのか悲劇になるのかはビビアン様次第。
せいぜい楽しませてくださいな。