婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
コテンと首を傾げたアンジェラ。
仕草は可愛いのだけれど言っているセリフはえげつない。
にっこりと笑うアンジェラの言葉を理解できないのか、瞬きを繰り返しながらビビアン様はただ彼女を見つめていた。
「素敵なレストランを見つけたのよ。行ってみない?」
的な軽いノリで言われてもすぐに理解できないのも無理はない。
「ふふっ。もう一度言うわね。あなたにとても似合いそうな娼館を見つけたのよ。そこにお世話になってみないかしら」
「しょ、しょう……娼館?」
「そう、娼館」
不敵な笑みを湛えたアンジェラは扇子でビビアン様の顎を持ち上げ彼女を視界にとらえると目を細めた。
「だって、疑似体験ばかりではリアリティがなくてつまらないでしょう? だから、本物の体験をさせてあげるわ」
やっと、言葉の意味を理解したのか俄かに震えだすビビアン様。
「い、いや」
「残念ながら拒否権はないのよ」
「な、何故。娼館って何? わたくしは……わたくしは」
くいと顔を近づけたアンジェラはビビアン様の顔をしげしげと眺めた。