婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
「それだけはイヤです。お願いします。それだけは、許してくださいませ」
先ほどまで震えていたビビアン様が床に頭を擦りつけて懇願する。
「あら、そうなの? だったら何がいいのかしら?」
「わたくしも男爵令嬢にしてくださいませ。家族と新しい領地に行かせてください。これからは改心して彼の地でひっそりと暮らしますので、二度とフローラ様の前には姿を現しません。どうか、お聞き届けください」
「反省したの?」
「はい。申し訳ございませんでした。わたくしが悪うございました」
窮地に追い込まれやっと謝罪の言葉を口にしたビビアン様の姿はなんとも滑稽でみっともない。平身低頭する彼女を見ると少しスカッとしたわ。少しね
「公爵令嬢の肩書はいらないの? あなたにとって大事なものでしょう? 男爵は下位貴族。公爵に比べたら雲泥の差よ。それでもいいの?」
「はい。なんでも受け入れます。男爵令嬢でも構いません」
「なんでも受け入れるのね」
「はい」
言質を取ったアンジェラはほくそ笑んだ。
娼館行きを拒むのに夢中でビビアン様は気づいていない。