婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
「でもね。あなたが男爵令嬢として新しい領地に行ったとして、果たして家族はあなたを受け入れてくれるかしらね」
「えっ?」
「だって、そうでしょう? あなたのせいで公爵から男爵へ爵位を落とされて僻地へと追いやられ、お兄様だって次期公爵のはずが次期男爵。息子は未来の王太子の側近候補はずが、王城に呼ばれることもない下位貴族。今までのような贅沢な暮らしだって出来ないわ。領地はわずかだもの。自分達には何の落ち度もないのに環境が一変したのよ。その元凶のあなたを快く迎えてくれるかしらね」
「そ、それは。でも、両親も兄夫婦も優しいですから。わたくしもこれから精一杯家族に償いをします。許してもらうためならばなんでも致します」
「あら、まあ。凄い改心だこと。もっと早く聞きたかったわね」
恐る恐る顔を上げたビビアン様は
「申し訳ございませんでした」
謝ると再び頭を床にこすり付けた。
愉快だこと。アンジェラは涼し気な顔で扇子を広げて扇いでいる。
「わかったわ。あなたも十分反省したようだしね。あなたの願いを聞き入れるわ」
「ありがとうございます。感謝いたします」
なおも床に頭をこすり付けてお礼を述べるビビアン様はとても憐れに見えた。