婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
 
 当日、リリアはエドガー殿と出席していた。会場では顔を合わせただけだったが、エドガー殿と一緒だから問題はないだろうと思っていた。それが間違いだったのだろうか。

 行動を共にしなくても常に監視下に置くべきだったんかもしれない。そうすれば、リチャード殿下に近づかせなかったものを。今更悔いても遅いのだが。

 ダンスや貴族達の歓談。会場は卒業を迎えた卒業生達の晴れやかな顔に溢れて華やいでいた。パーティーも佳境を迎えていた時、それは起こった。

 不穏な空気がどこからともなく漂い始め、なんとなく気になりその場所へと足を進めた。虫の知らせというものかもしれない。人に視線を頼りに件の場所へと行ってみると……

 リチャード殿下が王太子殿下に助けを求めるように走っていくところだった。抱き上げられた殿下の泣き声が微かに聞こえた。

「一体、何が起きたんだ」

 俺の呟きが聞こえたのか、そばにいた貴族が事のあらましを説明してくれた。令嬢が執拗にリチャード殿下にとても失礼な態度で話しかけていたと。

 まさか……イヤな予感がして、視線を移すと目に映ったのはリリアの姿。フローラ嬢とレイニー王子殿下の姿もあった。リリアが原因でひと悶着あったのか。

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