婚約破棄から始まる恋2~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
 
 マクレーン伯爵令嬢と王太子殿下が会話していらっしゃるのが見えた。殿下がチラッとリリアに目を向けたのが分かった。泣いていらっしゃるリチャード殿下の背中を撫でている妃殿下。

 卒業パーティーという晴れやかな会場で王族を巻き込んで何をやっているのか、うちの義妹は。

 目の前がクラクラして真っ暗になったように感じた。リリアはエドガー殿と一緒ではなかったのか? 探しても彼の姿はない。今は悠長にそんなことを考えている場合ではない。

 俺と父は王太子殿下方の前に進み出て謝罪した。
 突っ立っているリリアも呼び寄せて謝罪するように促したが、とんでもない発言をしてしまい、下がっていた血の気が更に下がってしまった。眩暈がしてがくんと膝をつきそうになるのを何とか耐えた。

『子供の遊び相手をしたかっただけなんですけど、ごめんなさい』

 いくらなんでもこの謝罪はないだろう。

 今まで貴族の学園で何を学んできたのか。侯爵夫人教育で何を学んでいるのか。侯爵夫人からは少しずつ良くなっていると聞いていたのに。
 肝心な実践ができていない。

 はあ。
 過去は振り返りたくないものだ。また、頭が痛くなってきた。 
 ちなみにリリアは謹慎させている。ふらふらと遊び歩いてもらっては困るからな。

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