✧*。最愛✧*。
コンコン
扉をノックして入って来たのは錦先輩だった
「乃愛ちゃん、俺…「雪夜が目を覚したら連絡します。先輩、寝てないんでしょ?帰って大丈夫ですよ。少しは寝ないと体壊しますよ」……本当にすまない」
錦先輩は深く頭を下げ、病室を後にした
雪夜の傷だらけの顔を覗き込んで、オデコにキスを落とす
ピッピッと規則正しくなる機械音だけが静かな病室に響いていた
太陽が南の空へ上がった頃、病室に先生が来た
「早めに様子を見に来るはずだったんだけど、いやぁ、週明けで忙しくってね…遅くなって すまないね」
そう言いながら雪夜の診察をし終わると、先生は私に向きなおった
「君に聞きたい事があるんだ。二人の名前は分かったんだが親御さんの連絡先が分からなくてね。君は知ってるかな?もう一人の女の子は知らないって言うんだよ」
困ったように頭をかきながら、カルテに目を向ける
「私も知りません。雪夜も涼介も孤児です。高校生になったと同時に孤児院から出て、今は二人共 独り暮らしをしてます。孤児院から少しだけの仕送りを貰って、週に何回かのバイトをしながら…」
「そう…か。じゃあ、二人の身元引受人は「私です。涼介も…彼女が」」
ニッコリ微笑んだ先生は、看護師さんに書類を渡す
「そしたら、色々書類にサインを貰わなきゃいけないんだ。二人に説明するから多目的室に来てくれるかい?」
私と美沙希は先生の説明を聞いて、それぞれサインをした