囚われの令嬢と仮面の男
アレックスに尋ねられ、クリスティーナとお茶をする約束をしたと答えた。途中、唇が震えて返事がぎこちないものとなる。
「あの……っ、それよりアレックス。さっきヴァージルが出て行ったんだけど?」
「問題ないですよ。花壇を掘るためのシャベルを準備したら裏庭へ持ってくるよう頼んでおいたので」
「……あぁ。そう、なのね」
「はい。なので僕たちも先に花壇で待機していましょう」
上に羽織ったウエストコートを脱ぎ、アレックスが白シャツの袖を肘までたくし上げた。
アレックスの自室を出て玄関に向かう道すがら、弟にエイブラムのことを話すことにした。
元々彼とは幼馴染で、彼は男爵家の跡取りであること。誘拐される前日に舞踏会で会い、憧れを抱いていたこと。
私を屋敷に置いておきたくないという理由で誘拐したと聞いたこと。そしてその誘拐自体を、私の侍女だったマーサに依頼されたこと。
順を追って話すと、アレックスは目を見張り、言葉に窮していた。特別、後半に話した侍女の内容が気に掛かった様子で、眉を寄せていた。
「あの……っ、それよりアレックス。さっきヴァージルが出て行ったんだけど?」
「問題ないですよ。花壇を掘るためのシャベルを準備したら裏庭へ持ってくるよう頼んでおいたので」
「……あぁ。そう、なのね」
「はい。なので僕たちも先に花壇で待機していましょう」
上に羽織ったウエストコートを脱ぎ、アレックスが白シャツの袖を肘までたくし上げた。
アレックスの自室を出て玄関に向かう道すがら、弟にエイブラムのことを話すことにした。
元々彼とは幼馴染で、彼は男爵家の跡取りであること。誘拐される前日に舞踏会で会い、憧れを抱いていたこと。
私を屋敷に置いておきたくないという理由で誘拐したと聞いたこと。そしてその誘拐自体を、私の侍女だったマーサに依頼されたこと。
順を追って話すと、アレックスは目を見張り、言葉に窮していた。特別、後半に話した侍女の内容が気に掛かった様子で、眉を寄せていた。