彼がデキ婚するので家出をしたらイケメン上司に拾われました。
大きな紙袋が4つとコートを腕に掛けて少し離れたところにある公園まで歩いていくと課長が車から出てきて迎えてくれた。
泣いたことがありありとわかるのが恥ずかしいが、それに関して触れてくることはなく空気の読める男だから出世するんだと妙に納得した。

「帰りに何か食っていくか?」

何となく外で食べる気が起きなくて考えていると

「焼肉でもしゃぶしゃぶでもいいぞ、奢ってやる」

「それなら、家ですき焼きでもいいですか?」

「家で?」

「肉は食べたいのですが、外で食べる気分じゃなくて」

課長は笑いながら
「確かコンロがあったはずだからスーパーに寄って行こう」

「すみません、よく考えたら図々しいですよね」

「構わないよ、プライベートではルームメイトとということで」

「大家と下宿人じゃないですか?って、家賃は払ってないから居候ですよね」

「俺もあの家の持ち主ではないからルームメイトだろう」

「え?そうなんですか?」

「持ち主が長期に家を空けるとなると物騒だし家も荒れるから3ヶ月前くらいから住んでいるんだ。庭は見ての通りだし、2階までは手が回らなかったから助かった」

「そ、そうなんですね。役に立てたのなら少し気が楽です」

「ということで、今日は歓迎会を兼ねて美味い肉でも食おう。ただ、俺はまともな料理は出来ないぞ」

「任せてください」


そんな話をしているとさっきまで母の腕の中で泣いたのが嘘みたいに心が晴れた。
そして、車もスーパーの駐車場に入って行った。

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