彼がデキ婚するので家出をしたらイケメン上司に拾われました。
誰かの為に料理をするのは楽しい。
どうして今日は遅いんだろうとか、英子とはどうなっているのとか、知りたい、聞きたいと思うけど、それではあの元カノのようだ。
人を好きになるというのはその人を独占したいという気持ちが増幅するし、私の家族のこととか色々なことが不安になる。

あれ?

悠也の時はこんな風に不安になることは一度も無かった。

あれれ??

「ただいま」

昌希さんの声で我に帰る。

「お帰りなさい、カツ丼にしたの。カツはもう揚げてあるから卵でとじるだけだからすぐに出来るよ」

「わかった」と言って着替えに行っている間に準備しておいた玉ねぎを入れただし汁にカツを並べて卵を回しかける。
どんぶりにご飯をよそって準備をする。

「うまそう」

「うん、きっと美味しいよ」
くだらない嫌がらせにも、不安な気持ちにも“勝つ”様に自分への気合いの一品だ。

昌希さんはあっという間に完食するとテーブルの上にスマホを置いた。

「田沼英子からデートのお誘いを受けたんだがどうする?」

どうするって、会わないでって言えば会わないってこと?
答えに窮しているとテーブルに肘を立てて頬杖をつきながら真っ直ぐと私を見つめている。

からかわれてる??

「パーティションでしっかり区切られた日本料理店があって、そこなら心置きなく話せると思う」

「私もってこと?」

「そう、彩春とお父さん」

そういうこと!
田沼英子とのつながりにやきもちを焼いていた自分が恥ずかしい。

「ありがとう」

「じゃあ、金曜日の夜でいい?」

「うん」

「彩春にとって話を聞くことで辛いことがあるかもしれないけど、もうお父さんの事に囚われることが無くなって欲しい。金曜日まで準備があるから忙しくなるけど頑張ろう」

田沼英子を前に父さんは何を言うだろう、もし、まだ未練があるのなら、そんな父さんをもし母さんが受け入れたのなら・・・

家族をやめてもいいだろうか


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