彼がデキ婚するので家出をしたらイケメン上司に拾われました。
どんどん増えていく付箋を写真に撮るのがルーティンになりつつある。
最近は違う筆跡も混じり、壁に落書きをする人たちのようになってきた。
いたずらがきがある壁はどんどんいたずら書きをされるが、綺麗に消してしまうといたずら書きが止まるとうことがあるらしい。
みんなが書いているから私もと言う事なんだろう。

週明けにでも人事に話に行こう。

「酷いわね」
後ろを振り返ると営業部の女性が立っていた。

「そうですね、流石に来週にでも人事に話します」

「その方がいいわ」

「それまでに、犯人がきちんと片付けてくれれば、人事に話たりしないんですけどね」


パソコンに向かっているとスマホに母さんから着信があった。

きっと父さんのことが気になっているんだろう、とは言え今は仕事中だから電話に出られない、返事がないことに不安になっているかもしれない。
それならそれでいい。
お昼はコンビニで菓子パンを購入して公園にいくと母さんに折り返しの電話をすると、すぐに電話に出た。

「どうしたの?」

『明日、お父さんに会うんだって?』

「父さんが言ったんならそうでしょ、どうして確認するわけ?」

『大丈夫?』

「父さんと話をするのは母さんが望んだことでしょ、ただそれだけ」

『そう、彩春は最近どう?』
父さんに何か酷いことを言わないか心配しての電話だろう、取ってつけたように私を気遣うフリとか、もう私は子供じゃないんだからそれくらい解るよ。

「朱夏が細矢さんに慰謝料の100万円の支払いをお願いしたって聞いたけど」

『誰に聞いたの』

「その言い方だと知ってたの」

『不倫の慰謝料は細矢さんに頼んではダメだと言ったんだけど、結婚したら出どころが一緒だからって言い出して。それでも、ちゃんと叱ったのよ』

「“ちゃんと”叱れてないから細矢さんが私に嫌味を言いに来たんじゃないの。もう、朱夏の事に私を巻き込まないで」

『ごめんなさいね』

「じゃあ切るから」

通話を切って、天を仰いでから息を吐いた。

疲れた心にホイップあんぱんの甘みが沁みた。


増える付箋を撮すのも面倒になり、ただ放置して会社を出て途中で昌希さんと合流して牛丼屋に入り特盛を食べた。


昌希さんのスマホには田沼英子からのメッセージがいくつも入っていた。


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