彼がデキ婚するので家出をしたらイケメン上司に拾われました。
ミミをカットした食パンに卵や野菜などの具材をのせるとラップを使ってくるくると筒状にする。一つ一つラップで包むと皿に盛っていく。
コーヒーをドリップするとカップを三つ用意した。

金曜日の午後7時に日本料理店に来てくださいということと住所、地図のURLを父さんのスマホに送信したところで、昌希さんが田中弁護士と共に帰ってきた。

田中弁護士はリノベーションされた部屋をみて大爆笑している。

「よくこんな事が通ったね」

「こっちは圧倒的な被害者だし、向こうは世間体が重要な人間だったから」

「敵に回したくないね」

「いやいや、これからもお願いします」

ダイニングテーブルを三人で囲むと中野さんのサインが入った示談書を置いた。

こちらの提案は全てのまれていて、リノベーション費用全額と私への暴行の慰謝料35万と昌希さんへの迷惑料として15万円が支払われることが書かれていた。

付箋のことを聞いてみたかったが、ロッカーがアート作品になってしまっていることを知られてしまう、そんな事で心配をかけたくなくて言うのをやめた。

ロールサンドを食べてから田中弁護士は帰っていった。

「父さんには伝えたから」

「こっちも田沼に伝えてある、彩春はお父さんと一緒に先に席に付いていてくれ」

「本当に色々とありがとう」

「ひとつづつ彩春を取り巻く問題を解消していこう」

「うん」

「それで、総務の二人の件は?」

「待ち伏せも無いし大丈夫」

「何かあったら必ず俺を頼って」

「うん」

今は、あんな付箋のことよりも田沼英子だ。

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