彼がデキ婚するので家出をしたらイケメン上司に拾われました。
中央自動車道に入るとストレスのない程度に流れていた。
今までこんな風に出かけることは無かったから昌希さんが大磯だったり江ノ島だったり連れて行ってくれるのがすごく嬉しい。28歳の青春という感じが照れくさいけど、楽しくてずっとこの時間が続いて欲しいと思う。

「右側に競馬場があるんだ、帰りなら見えやすいかも」

「そうなの」

「古い曲だけどユーミンの曲に出てくるのがここなんだ」

「あっ、中央フリーウェイ!高速道路を使うことってなかったから、そうか!ここなんだ」

話をしているうちに通り過ぎていく。

「今度、競馬場に行こうか。馬券を買っても買わなくても楽しめるし、あのあたりだとビール工場があるから工場見学なんかもできるんじゃないかな」

「楽しそう。私って人生を随分と損していたんだな」

「だったら、俺と一緒に取り返そう」

いいの?
無関係な人を騙すよな妹と騙されるバカな父親がいる私が、一緒にいていいの?
なんだか泣きそうなる。

国立府中インターで降り日野バイパスに入る。
カーナビを使っていないのは、来なれているんだろうか?

「よく来るの?」

「え?」

「あっ、カーナビとか使ってないから」

「多摩動物園の手前に高幡不動があって交通安全祈願に何度か来てるんだよ。新撰組の土方歳三の菩提寺としても有名だけど紫陽花が綺麗な所でばあちゃんを連れて来たりしたから」

「紫陽花かぁ、家の庭にもあるから咲くのが楽しみ」

そんな話をしていると高幡不動の文字が見えてきた。

「5月とか6月に来るのがいいかもね、近くの百草園があって梅が見事だから2月とかがいいね。スケジュールがどんどん埋まりそうだ」

「うん」
としか答えられなかった。


「さて到着だ」
車は駐車場に入っていった。
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