彼がデキ婚するので家出をしたらイケメン上司に拾われました。

二階の私の部屋に布団を敷いて、昌希さんに抱きしめられながら横になった。

「この間、お昼休みに来たのはあの人？」

「知ってたんだ」

「うん、主任が昌希さんの彼女だって言ってた」

「それは正しくないな、“元”彼女だ」

「会社の前の歩道のところで立っているのを見かけているの、特徴的な髪型で綺麗な人だったから。あの日、遅くなったのは彼女に会っていたの？」

「そうだ。ごめん、元カノとの揉め事に巻き込みたくなかった。でも、言っておけば今日のようなことはなかったかもしれない」

「少し、不安になってた。今日、聞いてみるつもりだったの」

「そうか、だから何かおかしかったんだな。父親のこともあったのに、苦しめてしまってごめん」

「うん」

「彼女のことを話すよ。でも、そんなに面白い話でもないから眠くなったら寝てくれてかまわないから」

そんなの絶対気になって最後まで聞くと思うけど、昌希さんの腕の中は暖かくて安心するから眠ってしまうかもしれない。

「わかった」

「一年半前に別れてから初めて二ヶ月前に彼女から連絡が来たんだ」