Candy Spoon
「何か手伝えることあるかな?」

話しかけることに気恥ずかしさを覚えながらも、助けを求められている状況を見過ごすわけにはいかなかった。



「ボクちんの飼い主の葵くんを一緒に探してほしいポタ〜!ボクちん、近くに葵くんがいればすぐに気づくポタ〜!」



この子は誰かに飼われているらしい。
急にメルヘンな世界に迷い込んだみたいで、少しワクワクする。



「分かった!葵さんという方を探せばいいんだね。あなたの名前は何て呼べばいいかな?」

しばらくの間、一緒に人探しの旅をするんだから、名前くらいは聞いておきたい。



「ボクちんの名前は、『ポタちゃん』ポタ!」


語尾がそのまま名前になってることに吹き出しそうになったけど、愛嬌のあるこの顔にピッタリな名前だと思った。



「私は向日(むかひ)ましろ!よろしくね」

私の名前を教えるとポタちゃんは嬉しそうな顔でパタパタと腕を広げ飛び始めた。
このまま飛び続けるのかと思ったら、私の肩にピタッと止まった。



「ましろちゃんポタね〜!葵くんを探しに行くポタ〜」



ポタちゃんを肩に乗せて再び賑やかな夜の街を歩き出す。
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