桜と私と君
今年もこの季節がやってきた。
「もう春かー、」
「早いね」
「俺らこの会話毎年してね?」
「そーだね」

今私が話してるのは幼稚園、小学校、中学校、高校、と全部一緒の幼なじみの夕桜(ゆら)だ。小学生の頃から付き合っている。

「美桜ーこっちこっち」
私の名前は美桜(みお)だ。
夕桜に呼ばれて急いで向かうとまだ花が咲いていない桜の木があった。
「これ、もうすぐ咲くなー、楽しみだな」
夕桜が目を輝かせている。
「楽しみだね」
私がそういうと夕桜は頷いた。

私たちは桜が大好きだ。
好きな理由は2人の名前に『桜』という漢字が入っているのと、もうひとつ理由がある。
それは小学生の時、桜が満開に咲いる木の下で同時に告白したのだ。

その日はいつものように2人で歩いていて桜を見つけた。
綺麗な桜に見とれて近ずいた。
その時私は夕桜に
「ずっと前から好きでした」
と伝えたのだ。
その時私ともう1人の声も重なっていた。
夕桜も同じタイミングで同じ言葉で告白したのだ。
だから桜を見るとあの時を思い出す。
毎年桜を夕桜と一緒に見るのが楽しみだ。

「てかさ高校卒業したら大学は違うところ行くから美桜と同居したい」
同居なんて考えたこと無かった。
私もずっと夕桜と一緒にいたいから同居には賛成だ。でも、、、
「同居、私もしたいけどお金の面はどうする?」
すると夕桜が笑みを浮かべて
「俺さ、お前にずっと金貯めてて、その金でどう?小学生からずっと美桜に使うって決めてたんだ。」
キュンとしてしまった。
私のためにずっとお金を貯めてくれてたなんて信じられないほど嬉しかった。
でも夕桜に全部払ってもらうのは申し訳ない。
「私も最近バイト始めたから貯めるね」
「無理しないで大丈夫だからな」
その言葉にまたキュンとしてしまう。

「じゃあまた明日〜、バイバイ」
そう言って私が手を振ると
私の手を掴んで
「俺、送るから。こんな時間に危ないだろ」
またキュンだ。
まあこんな時間って言っても夕方の5時だ。

家に帰って机の上の桜のネックレスを眺める。
細くて綺麗なチェーンの真ん中に桜の飾りが着いている。
去年、夕桜から貰ったものだ。
その隣を見ると桜のブレスレットが飾ってある。
これも夕桜から貰ったものだ。
夕桜はたくさんのプレゼントをくれる。
毎日一緒に学校に行って帰って一緒に遊ぶ。
そんな日々もあと1ヶ月しかない。
卒業したらそれぞれ違う大学に行く。
ずっと高校生でいたいと強く願ったけど
時間は止まらない。
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