赤ちゃんを授かったら、一途な御曹司に執着溺愛されました

『ただ……危害を与えるつもりはもちろんありませんが、相手の出方次第では保障できかねます』
「それも、こちらで対処しますので。余計な心配は無用です」
『それにしても、私のことは美織さんには紹介していただけないのですか? こちらとしてはもう関係も長いですし、しっかりご挨拶したいところですが』

からかっているのか、そんなことを言い出され小さくため息をついた。

「その予定はありません。最初にそう伝えてありますし、そちらもそれで納得してくださっているはずですが」

自ずと声に厳しさが混じっていた。

間違っても紹介などできる立場ではないのに俺を揺さぶっているのかわざとそんなことを言い出す態度にわずかな苛立ちを感じていると、電話の向こうでクスリと小さな笑い声が聞こえた。

『そうでしたね。私は日陰の女ですから。愛しの奥様によろしくお伝えください。ではまた後日』

携帯を下ろし、寝室に戻る。
ベッドサイドにあるテーブルに携帯を置いてから、なるべく振動が伝わらないよう配慮して美織の隣に横になる。


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