リスタート〜さよなら、私の初恋〜
「ありがとう、成宮さん」

さっきの弱気な言葉より少し強気な言葉で、柏木さんはそう言った。私一人が相手だとこうなるのか。

「ここだとあれだから、移動しよっか」

彼女のその一言で私たちは、場所を今朝紗奈と話した階段の踊り場に移した。

「それで、話って?」

着いてすぐ、覚悟を決めた私は強めにそう聞いた。どうせ瞬のことだろうけど、ここで逃げたらだめだ。そう自分に言い聞かせた。

「単刀直入に言うけど、瞬くんと話すのやめてくれない?」

腕を組んで、私を睨みつけながら彼女はそう言ってきた。そんなことだろうとは思っていたけど、噂で聞いていた「学校一可愛くて優しい柏木優里花」とは全然違い、少しだけ怯んだ。まぁ女子なんて、そんなものだよね。

「……柏木さんが瞬と付き合ってるのは知ってる。けどなんで私が瞬と話しちゃだめなの?」

声が、震える。そんなの自分でも分かっているのに……。

「そんなの、私にとっても瞬くんにとっても成宮さんが邪魔な存在だからよ。折角付き合えたのに、彼女の私から瞬くんのことを取らないでよ。瞬くんが幸せになるのそんなに邪魔したいの?」

柏木さんの言葉に、納得してしまい何も言い返せなくなった。私が瞬に告白することで、瞬の幸せな今を壊して、しまう……?今までそんなの考えてなかった。どう、しよう。

「分かってくれたならいいけど。これ以上瞬くんに迷惑かけないでね?」

さらに追い打ちをかけるように、耳元で低い声でそう言い、柏木さんは去っていった。
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