ママの手料理 Ⅲ
「まずはここに水を入れて、その後に唐辛子の粉を混ぜる。もう1つの方には塩を沢山入れて…」


水鉄砲を分解した俺は、躊躇せずボトルを湖の中に突っ込んで水を溜め始めた。


解説通り、これでもかという量の粉をその中に入れ、水鉄砲を組み立て直して軽く振って馴染ませる。


「……」


隣からの視線がやけに痛いけれど、気にしない気にしない。


同じ事をもう一度繰り返した俺は、満タンに水が入った水鉄砲を両手に持って構えのポーズをとった。


「伊藤大也特製水鉄砲、完成!狙い所はズバリ、目と鼻と口!」


「…それ、どうするんですか」


銀子ちゃんがドローンを作った時や湊が催眠薬入りの銃を作った時は手を叩いて喜んでいたはずなのに、何なんだこの天と地程の反応の差は。


「もちろん、フェニックスの奴らを攻撃する時に使うんだよー!これが目に入ったら涙が出てきて止まらなくなって、口や鼻に入ったら最後、くしゃみが出て闘いどころじゃなくなる!」


この案は、昨日紫苑ちゃんの部屋で彼女とビーチについて話していた時に思い付いたのだ。


世界的に有名な怪盗グループが銃やナイフを使ってくる事は確定事項だし、何なら小型の爆弾や催涙弾を使ってくる可能性も否めない。
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