ママの手料理 Ⅲ
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「うわーしょっぱい!これ海水なのかな?」


「よく躊躇せずに舐めれますね…」


ここは、ホテルの目の前にある人口湖のほとり。


朝食を食べた後、俺ー伊藤 大也ーと航海は共に連れ立って人口湖まで散歩に来ていた。


他のメンバーは何をしているのかと言うと、つい数分前に銀子ちゃんと仁が一緒にスーパーに買い物に行ってしまって、他の人達は全員部屋で思い思いに過ごしている。


そして、俺はたった今人口湖の水を舐めてその感想を述べたところである。


大人げない…と、隣でがっくりと肩を落としている航海の声は、いつにも増して棒読みだ。


「やだなー、何でそんな事言うの!水がしょっぱくなかったら話にならないんだからね!?」


俺は、手提げバッグの中から2つの大きな水鉄砲を取り出して文句をぶつけた。


「…え、何でそんなの持ってきてるんですか。散歩ですよね?」


途端、隣に立つ航海の顔があからさまに曇る。


「盗みは明後日だよ?準備万端にしておかないと」


「だからって、水鉄砲ですか…」


彼の呆れた様な声を完全に無視し、俺はバッグの中から唐辛子と塩の入った小瓶を取り出してにやにやと怪しすぎる笑みを浮かべた。
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