ママの手料理 Ⅲ
いきなりパソコンを弄っていた銀ちゃんが手を挙げて発言をしたから、既に集中力の切れかかっていた私は欠伸を噛み殺してそちらを向いた。


「今回の闘い、やっぱり紫苑と笑美を車の中で待機に変更させたい」


一瞬で眠気が覚めた。


「え!良いの!?」


憧れだった車内待機に私は目を輝かせ、


「ええー、危険だよ…」


「嘘だろおい、クソガキが乗ると車内が狭くなるんだよなあ」


心配症のリーダーは苦い顔を浮かべ、壱さんは嫌味を吐いてきた。


「理由は、これだ」


リーダーと元不良をなだめるように薄い笑みを浮かべた彼は、私達に向けてパソコンの画面を見せてきた。


(あ、これって……)


そこに映っていたのは、銀ちゃんが此処に持参したカメラとマイク付きのドローンだった。


「これは、俺が作ったドローンだ。前に怪盗パピヨンを倒す時も使った事があるから、覚えてるよな?」



そうだ、航海と壱さんだけで怪盗パピヨンを攻めに行った際、銀ちゃんはこのドローンを駆使して家に居た私達に音声と映像を届けてくれていた。


私がこくりと頷くと、彼は頷き返してから説明を再開させた。


「今回、このドローンの下部分に内蔵型の銃を取り付け、連射ができる仕組みに改造した。このドローンを動かすのに1人、映像を元にして銃を連射するのに1人必要だ。俺は当日、パソコンを使うから動けない。だからこいつらが要る」
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