ママの手料理 Ⅲ
「いえ、大丈夫です。ご主人様のお力になるのでしたら、何なりと協力させて頂きます」


いつにも増して淀みなく話す彼女の目は、本気だった。


(笑美ちゃんもこう言ってるし、私も皆の為に参加したい!)


「わ、私もドローンの操作くらいなら出来るから…。皆が良ければ、車内待機したい、です」


家政婦の後から付け加えた私は、上目遣いになってコップを手にした湊さんを見上げた。


そんな私の事を見下ろした彼は、数秒後に堪えきれなくなったのかふはっ、と笑顔になり。


「そこまで言うなら…仕方ないね。笑美も、養成所で鍛えた腕前が見れるのを楽しみにしているよ」


「ありがとうございます、湊さん!頑張ります!」


「ご主人様、ありがたき幸せ…!」


こうして、怪盗フェニックスへの闘いには今回渡米した全員が参加する事となった。



「いやー、とうとう紫苑ちゃんも闘いに参加するなんて…。何か感慨深いね、俺泣いちゃいそう」


「やめてよ保護者目線で語らないで」


夕飯を食べた後、私は航海と琥珀の部屋で大也と話していた。


どうして、こんな事になっているのか。


まず、夕飯の時点で琥珀と全然話せなかったらしい大也が、愛する人とただ話をしたいという理由で琥珀と航海の部屋を訪れた。
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