ティアドール
「しかしな。それだけで生きれぬのが!戦場だ!」

体当たりにも似た黄金の鳥の動きに、普通ならば…逃げるだろう。

しかし、そこが、河村の違いだった。

マシンガンを捨て、右手につけられた刃を、上から下に振り下ろした。

「くっ!翼を!」

思わず、顔をしかめたフェーン。

「飛べぬ鳥に、何ができる!」

思わず、笑顔が溢れる河村。

だが、しかし。

「な!」

振り下ろした刹那、刃は弾かれた。

「高周波ブレードが弾かれるだと!?こ、このコーティングは!?」

「言ったはずだ!いつまでも、前にいると思うな!ジャパニーズ!」

黄金の鳥は、ガルのブレードを弾くと、上空に飛び上がった。

すぐさま、砲撃が襲ってきたが、スピードが違った。

「上手くいったか?」

フェーンはフッと笑うと、眼下の格納庫を見た。

「はい。少佐」

オリジナルフィギュアが横たわる格納庫内に、ノアが侵入した。

「今から、捕獲します」

「トニー。任せたぞ」

「は」

独自の回線を切ると、トニーはノアを動かした。

「あれが…オリジナルフィギュア」


ノアの侵入に、格納庫内は騒然となった。

「ブシの部隊は、どうなった!?」

「敵の新型に翻弄されています!」

オペレーターの報告に、司令官は机を叩いた。

「こちらの新型は!」

「一機のみです。他は、起動前に大破させられています」

「お、黄金の鳥め!あの性能、やつらのものとは思えぬ」

司令官は、苦虫を噛み締めたような顔になると、

「オリジナルフィギュアを起動させろ!それしかない」

オペレーターに命じた。

「そ、それが…」

オペレーターは格納庫の報告を聞きながら、声を詰まらせた。

「どうした!」

「オリジナルフィギュア…乗り込むことができません!」

「な、何!?」

司令官は、眉を寄せた。





「どうなっている!」

ノアの侵入を許したが、中にあった銃器で、何とか足止めをしている兵士達の後ろ…コンテナに横たわるオリジナルフィギュアのへその辺りで、武田真也と兵士が、焦っていた。


< 18 / 77 >

この作品をシェア

pagetop