太陽のような君をもう一度
「来てくれてありがとう、日向君」

「ううん。話って何?」



放課後、日向き教室に日向君を呼んだ。

窓から入り込む光が舞っている埃を照らして綺麗だった。



「日向君はどうして私を振ったの?」



単刀直入に聞く。

ずっと聞いてなかった。

まずは別れた理由を知らなきゃいけない。



「それは……。美玲が話しているのを聞いちゃったんだ。美玲、『日向君と同じ高校に通いたいからランク一つ下げようかな』って話してたよね」

「っそれは!」



確かにそう言った。

私の第一志望の高校だと日向君は厳しい。

すごくすごく日向君のことが私は好きで、格好いい彼はきっと高校に行ってもモテる。

一緒にいなきゃ不安だった。



「俺はそれを聞いたときに自分が美玲の将来を狭めてしまうことが嫌だった。美玲はずっと勉強を頑張ってきたのにそれを俺が無駄にしてしまうことが情けなくてしょうがなかった」

「そんなことない」



一体この学校の何人が羽鳥日向という人間に夢中になっていると思ってるの?



「俺が嫌だったんだよ。美嶺は俺に勉強を教えるために自分の勉強会時間も減らしちゃうし」

「だったら別れる時にそう言ってくれれば良かったじゃない」

「ごめん。こんな自分を美玲に見せたくなかった。嫌われても恨まれてもしょうがないけど俺は美玲が好きなままなんだ」



好きという言葉にまた私は簡単にドキドキさせられる。

でもモヤモヤも同時にあって言葉が考えるより先に出てきた。



「こんな自分を私に見せたくなかった?そう言ってまた何かあったら私を振るの?」

「違う、そんなことない」



手を弱々しく掴まれる。

私でも振り払えるぐらいの力で握るのもずるい。

声が段々と大きくなっていく。



「私がどれだけ悲しかったか知らないの?自分勝手だよ」

「わかってる」

「っ!私は情けないとこも格好悪いとこも全部知りたかった!そんなことで嫌いになるわけない!勉強だってどこでも出来る!私はただ日向君と一緒にいたかっただけなのに!日向君がいない世界なんて息ができない!」



これが私の本音。

利己的でどうしようもなく盲目的だ。

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