太陽のような君をもう一度
大声を出したことではぁはぁと肩で息をしてしまう。

そっと顔を上げると日向君はその綺麗な瞳から静かに涙をこぼしていた



「なんで日向君が泣くの……」

「……ほんと、ごめん。美玲、怒ってるのに。でもさっきから俺には美玲が俺に好きだって言ってるようにしか聞こえないんだよ」

「……そうだよ」



握られている手にそっと力をこめる。

臆病な私の精一杯の気持ちの伝え方だった。

私が日向君とまた付き合いたくなかった理由は日向君が好きすぎるからだった。

そんな私が泣いている彼の前でもう気持ちを隠すなんて無理だよ。



「俺のことまだ好きでいてくれてありがとう。ホント美玲にもう好きじゃないって言われた時、寿命縮まるかと思った」

「卒業までに好きにさせるって言ってたのに」

「卒業までになんて言ってないよ。根拠なんて高校でも美玲にアピールすることぐらいしか無かったよ。俺、美玲と高校一緒だし」



さらりと耳に入ってきた情報に日向君の目を思わず覗き込む。



「え?」

「春谷高校、受かりました」



ピースサインをしてあの太陽のような笑顔を見せる日向君に私はついに泣き崩れた。

日向君の宝石のよう瞳が柔らかく愛おし気に笑いかけ、そっと抱き寄せられる。

ぐちゃぐちゃな顔を隠すようにぎゅうと抱きついた。

暖かく力強い腕に幸せを感じて、この人が好きだという気持ちが積もっていく。



「俺も美玲とずっと一緒にいたい。もう二度と別れようなんて言わない」

「そのことだけど私はまだ許してないよ」

「え!?」

「バツとして私とデートすること!」

「あははっ、簡単なバツだ」



ぎゅうぎゅうとさらに抱きしめる力を強める日向君をどうして手放せると思ったんだろう。

きっと卒業しても私は想いが残ったままだった。



「大好きだよ、日向君」



返事の代わりにキスが降ってくる。









桜の花びらが舞っている。

今度は気のせいなんかじゃない。

春がくる。





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