エリート極上男に堅物女で有名な私が何故か執着されています【完】 ~続編更新中~
「葵、すまない、すまない―――。あんな家、早くに縁切りをしてしまえばこんなに傷つけることは無かったのに…。あの女の変貌に気づけなくて、本当に申し訳なかった…」
母はもう違う人になったように私の顔を見るなり罵倒してくるが、父だけは昔と変らず私に接してくれた。
酷い目にあわせてしまったしまったと何度も謝罪してくれる。
お父さんは本家からの財産を継ぐ意思はないとしてすべての遺産を放棄する手続きを弁護士を通して行った。
それと同時進行に祖母が私に慰謝料を払うように手続きもしてくれ、自分の体裁が悪くならないように保守した祖母はポンと示談金の支払いに応じた。
野村の裁判相手は何人もいて、何度も裁判をしては支払う慰謝料が重くなっていく。
もう一生それらを払い続けるために働くしかないほどに金額が膨れ上がってるらしい。
私がそれらの証言やらなんやらに解放されて自由になったのは季節が二つ変わった時期。
紅葉した葉が落ち、風に転がされてカサカサと音をたてながら飛んでいく時期になっていた。